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キックボーダー書類送検
〜新聞記事に思う
昨年11月渋谷で、気になる事故が起きました。朝日新聞やNHKのニュースでも取り上げられたので、覚えている人も多いでしょう。それは、
「キックボーダー書類送検」
というものでした。この事件はキックボード本体のみならず、同じように舗道上の移動手段として使われているインラインスケートにも影響を及ぼすのではないかと懸念されるので、今回特に取り上げました。
1. 事故の経緯
昨年11月、「キックボード」や「スクーターボード」と呼ばれる乗り物に乗り、歩道を歩いていた女性会社員(26)に衝突し、肘や腰などに約1週間の怪我をさせたアルバイト男性(17)を、警視庁原宿署が道交法違反(禁止行為)と重過失傷害の疑いで東京地検に書類送検する。
道交法では、ローラースケートやスケートボードと同じ「遊具」にあたり「交通の頻繁な道路でローラースケートに類する行為をしてはならない」との禁止行為に該当。都内では昨年、遊具と車との事故が17件発生した。(出典:自動車ニュース&コラム2000年2月9日号http://www.carshop.net/mailnews/)
2. 送検の理由について
今回の送検の理由は、「重過失傷害」と「道交法違反(禁止行為)」の2つです。ここで刑法上の扱いは、重過失傷害の方が重いと考えられるので、今回道交法を適用した、というのは、増え続けるキックボードに対するけん制の意味が強いと思われます。
ここで、今回適用された道路交通法の第76条に何が書かれているか、見てみましょう。
道路交通法第76条の第4項
「交通のひんぱんな道路において、球技をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること」
に該当する行為は、道路における禁止行為とされるのです。
しかしながら、法の中には「遊具」の定義はなく、今回の発表では、便宜上「ローラースケートに類する物」の広義な意味として「遊具」という言葉を与えたのだと考えられます。
何故軽車両にならなかったのかというと、「メーカーが人を搬送する目的でつくったものではない」ということと、「社会通念上、移動目的と認められていない」というところから「遊具」になったそうです。
この言葉、そのままインラインスケートにも当てはまるのです。
ちなみに似たような物で昔あった、ホンダのローラースルーGOGOは、脚こぎペダルがついているので軽車両に分類されるようです。この事件が発表された当初新聞では、「足という動力があり」、「ハンドル、ブレーキ等の走行に必要な機器が取り付けてある」ので、軽車両に該当するのでは、という書き方でしたが、実際に送検された理由は、軽車両扱いではなく、ローラースケートに類する物とされてしまいました。
取り締まり云々ばかりが強調されていますが、彼が傷害で告発されるのは当然だと思いますが、ここで注目したいのは、処罰の対象として青切符を切る、と言うことです。記事に出てきた「行政処分云々....」ってのは、要するに青切符のことでしょう。
今回は適用を見送られましたが、もし「移動手段として使われている」ということで、道交法の適用対象となり、処罰を受ける、と言うことは逆に言えば、キックボードが「軽車両」として認められ、「交通機関」の一つとして認められる、ということでもあると思うのです。つまり、道交法の適用を受ける対象となるのと引き替えにキックボードは、単なる「遊具」ではなくなる、ということですね。
これは、自由に滑れなくなる、とか警官の制止が厳しくなるというだけではない問題に広がりそうです。もし、本腰入れて道交法の適用に警察が踏み切るのであれば。
まず、軽車両は原則として歩道を通行することを禁じられているので、もしキックボードを軽車両に分類するとキックボードは車道を走るか、自転車歩行者道となっているところのみ歩道を走ることになります。これに特例を付けて「軽車両ではあるが、キックボードは歩道を走ること、もしくは滑っても良い」とするのかどうか。
今回の送検はおそらくその辺の論議をするには時期尚早、とか、まだ死亡事故が起きていないから、という官僚バランスの中で、何か起きるまでは、「遊具」でいいや、ということで軽車両扱いしなかったという姿勢が見え見えです。
3. キックボーダーへの波紋
この事件は、普段ちょろちょろキックボードを目にするな、という程度の人にはかなりネガティブな印象を植え付けてしまったと思います。
事故の起きた当初、ぼくは様々なキックボード関連のBBSをのぞいてみましたが、この件に関しての書き込みがほとんどありませんでした。あったとしても暴走したヤツが事故っただけで、おとなしく滑っていれば問題ない、という感じがほとんどです。
考え方としては、もっともだ、と思うのですが、世間はそんな風には見てくれません。実際この事件以来、「キックボード=危険」として、町中で見知らぬ人から注意を受けるキックボーダーも増えているようです。
結局今回は軽車両に分類することなく、キックボードを「遊具」としてのみの視点で重過失のみで今回の事件を警察が扱ってしまいました。これで、メーカーも少なくユーザ団体もない(聞いたことがない)KSBは、かなり危うい立場に置かれる、と逆に思います。いっそのことKSB単体で考えれば、道交法議論に巻き込んだ方がいいのかも知れません。
4. インラインスケートへの波紋
ひるがえってスケートに問題を置き換えてみると、こう言った問題がネガティブなイメージであれ、人々の俎上に上るのは、ちょっと羨ましかったりします(あくまでもぼくの私見の一部。実際に俎上にあがれば、そうそう気軽にCRなんて言ってられないとも思います)。SK8はいつまで経っても「遊具」ですからね。そして、こういう問題が起きるまで、何ら増え続けるキックボーダーへの対策を講じてこなかった行政に対しての事なかれ主義への腹立たしさも感じます。
この問題がインラインにまで踏み込んできたときこそ、ぼくたちスケーターだけでなく、メーカーそして積極的に動くつもりがあるなら各種協会も巻き込んでの働きかけが必要になるときなのではないかと思います。
そして、その時にメーカーや協会側が「スケートは公園で安全に楽しむための遊具です。」なんて言い出しちゃったら、、、、ちょっと考えるのが怖くなりました。
この件については、今後随時フォローアップしていく予定です。
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